スプレーガンとは、エアーの力で塗料を霧状に吹き出して対象物を塗装するための道具です。エア工具ではプロの現場でも外壁の塗装などにも使われています。DIYに向いているバッテリーやコンセントを動力源にしたタイプもあります。刷毛やローラーと違い、刷毛跡やローラーマークのように道具による仕上がりの特徴がほとんどない、ワンランク上の美しい仕上がりになります。
コードレススプレーガンの使い方 – 刷毛でもローラでもない新しいDIYアイテム!
スプレーガンとは
スプレーガンとはどんな道具?
特徴
バッテリータイプ
- どんな場所にでも移動して使いやすい
- バッテリーの消耗が激しい
コンセントタイプ
- コンセントのある場所でしか使えない
- コードの長さで移動に制限ができる
- 電力が安定共有される
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どんな道具?
DIY向けのスプレーガンは、インパクトドライバーのような形の本体に、塗料を入れるタンクがついています。先端からは空気がブロアのように送りだされ、その吹き出される空気と一緒に塗料の粒が噴射されます。
缶スプレーと似ていますが、小さく繊細なものを塗るのに向いているのに対して、スプレーガンは広範囲の壁面や、フェンス、ガーデンファニチャーなどの大型のものを塗るのにも使用できるため、ハケやローラでは時間がかかってしまっていた作業もスムーズにこなせる便利な道具です。
画像のスプレーガンは、ボッシュの「Easy Spray 118H」で、2023年に発売されたDIY向けモデルです。
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メーカーによって形状は様々です。
風を送り込むモーターと一体型のタイプはコンパクトなところがメリットです。ただし、バッテリーやモーター、加えて塗料の重さすべてが合わさるため、作業中腕が疲れやすくなります。コンセントのタイプであればバッテリーがないぶん、少しだけ軽量ですが、塗装中コードが邪魔になることもありそうです。
トリガースイッチを握ることで、空気と塗料が一緒に出てくるため、スイッチをオンにした瞬間は風圧が弱く塗料がパラパラと出てきて、少し時間が経つと安定するといった使い心地です。画像のようなモーターの内蔵されているベースユニットとスプレーガンが別々になっているタイプもあります。
こちらは、モーターのスイッチとスプレーのスイッチが別になっているため、噴射のタイミングにラグがなく、トリガーをひいた瞬間から塗料が一定量噴射されます。モーターから送られてくる空気が常に安定しているので、塗装中のストレスが減りますよ。 -
作業中の音について
作業している間は、モーターの音が結構響きます。
掃除機を使用している時と同じくらいの騒音レベルです。ご近所迷惑になるほどではないと思いますが、作業の時間帯や場所には注意してください。
スプレーガンの使い方
塗装前に確認すること
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吹き出しの形状
塗料の吹き出し口の角度を変えることで楕円状、正円状に塗料を吹き出すことが可能です。
・横向き楕円:対象に向かって垂直方向に吹き付けるとき
・縦向き楕円:対象に向かって水平方向に吹き付けるとき
・正円:コーナーなどピンポイントに吹き付けるとき -
噴出量
本体には噴出量を調整するダイヤルがついています。
塗料の種類や状態によって量を調整しながら、吹き出しすぎないようにして塗装しましょう。 -
吸引チューブ
塗料タンクの中に入っている吸引チューブには角度がついています。
作業中、本体の傾ける方向に合わせてチューブの先端が下を向くようにセットしましょう。
塗装の準備
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準備するもの
・スプレーガン
・塗料カップ、混ぜ棒
・塗料
・うすめ液(水性の場合は水)
・養生 -
塗料の準備
塗料にうすめ液を入れて希釈します。
スプレーガンの使用は、晴れた外や、暑い場所は不向きです。霧状に吹き出した塗料の粒が、塗装したい対象に付く前に乾いてしまいパウダーのようにポロポロとしてしまうことがあります。
作業場所は日陰や屋内で、よく換気をしながら行ってください。 -
試し塗りをする
同じ作業場所でいつも塗装しているからといって、いつも同じだけ塗料を薄めれば良いと言うわけでもありません。
天候や湿度によっても塗料の吹き出し方が少しずつ変わってきます。少しずつ水を加えては試し塗りをして、問題なく塗装できるかチェックしてから塗り始めてください。
塗料の希釈が足りないとうまく吹き出さず、薄めすぎると垂れやすくなります。 -
吹き出した塗料をチェック
噴出量をダイヤルで調整します。
吹き出す量が多いときは、粒が大きくなり一気に塗ることが可能ですが、塗料がつきすぎてしまうことがありますので、垂れてしまわないように注意します。
逆に少ないときは、細かい粒が薄くつきます。重ね塗りをしながら裏が透けないようにして行きましょう。 -
塗料が垂れてしまったところ
注意して塗っていても、どうしても塗料が垂れてきてしまうことがあります。
同じ場所ばかり吹き付けていないか、塗料を薄めすぎていないか再度確認してみてください。
塗装方法
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平行に噴射する
塗装対象に吹き付ける時は、水平方向または垂直方向に噴射していきます。塗膜の厚さにムラができてしまいますので、ジグザグや円を描くようにして塗らないようにしてください。
塗り始めは対象物の少し外側から、塗り終わりも少しはみ出すところまで吹いてください。そうすることで端の塗り残しを防ぎます。
ニスやペンキ系塗料
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顔料系塗料を塗る場合は
本番の塗装をする前に試し吹きを行い、塗料の付着した状態を確認します。
1度塗りで完全に裏が透けないように塗ろうとすると、塗料が垂れてしまいます。2〜3回塗り重ねる前提で、ムラができないように薄く吹き付けていきましょう。
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顔料系塗料の仕上がり
乾燥前はスプレーされた粒が少しだけポコポコしてゆず肌のように見えます。
乾燥後はその凹凸もほとんど気にならないくらいツルッとした仕上がりです!刷毛やローラーで塗るとどうしても跡が残ってしまい、その塗り跡を活かした仕上げであれば良いのですが、無機質な仕上がりを求めるのであればスプレーガンはとても良いでしょう。
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しかし同じスプレーでも、缶スプレーでの塗装の方が塗料の粒が細かいため、全く同じ仕上がりを希望している方には少し粗く見えるかもしれません。画像では木材へ塗装しているので気になりませんが、車のパーツなどのようにプラスチックや金属の元々がツルツルの素材に対しては、少しだけ凹凸がわかることがあります。
ステイン塗料
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ステイン塗料を塗る場合は
ステイン塗料は粘度が低くサラサラとしているため、希釈せずそのまま塗装できます。
木材に染み込ませることで着色するため、多く吹き付けられても問題はありません。逆に薄く拭きすぎるとムラの原因になることがあるので思い切って塗っていきましょう。
びしょびしょになってしまったら、余分なステイン塗料を布で拭き取ってください。
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注意点
ステイン塗料でベンチなどのエクステリアを塗装する場合、板のように平面を塗るのとは違い、隙間があったり細い部分があったりして、スプレーが無駄になることが多々あります。飛び散りも多くなりますので養生が必須です。
隙間や細かいところを一気に塗ることができるぶん作業時間は短縮できますが、スプレーが不要なところにも当たり、刷毛で塗るよりもたくさんの塗料が必要になるところはデメリットかもしれません。
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ステイン塗料の仕上がり
木が日焼けして白くなっていたところに、問題なく細部まで塗ることができました!
刷毛などで塗った時と仕上がりは変わらないので、塗装範囲が広い場合や、作業時間短縮したい場合にはスプレーガンを使用するのはおすすめです!
使用後の片付け
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洗浄する
使用後はすぐに塗料を洗い流しましょう。噴射口はとても微細な穴なので塗料が固まると詰まってしまい、次に使用できなくなります。
タンクに残っている塗料を出して水などですすいだ後、タンクの中にきれいな水を入れ、タンクが空になるまで吹き出します。それを何度か繰り返して、吹き出した水に塗料の濁りがなくなればOKです。
油性塗料を使用した場合は、適切な薄め液で同じように洗浄してください。噴射口が固まってしまった場合は、付属の洗浄用ブラシを使用して詰まりを取り除いてください。
まとめ
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刷毛やローラーのように手軽に使える塗装道具は、DIYのシーンでよく使用されていますが、電動工具を使用して塗装を行うというのはDIYではあまりなかったのではないでしょうか?
スプレーガンを使用することで、より大きな面や複雑な形状を塗装しやすくなります。これまでにない便利さを感じられること間違いなしです。塗装する場所がない、塗装が億劫、という方も簡単に使えるスプレーガンがあれば、お部屋のイメージチェンジに定期的に壁や家具を塗り替えたくなるかもしれませんね。