手軽に色を塗れるものとして身近にあるのが缶スプレーです。シューっと吹き付けるだけで塗装ができて他に道具が必要ありません。
簡単だからこそ自己流になりがちなところも… 液垂れやムラになってしまわないように、ポイントを押さえて缶スプレーをうまく使いこなしましょう!
スプレー塗料の塗り方
スプレー塗装とは
準備するもの
- 缶スプレー
- マスキングテープ
- マスカー
- やすり
- スプレーブース
塗り方の手順
準備
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1.養生する
作業台や周辺に飛散した塗料がつかないように、マスカーやマスキングテープで覆っておきましょう。
スプレーは塗装する対象物よりも広範囲に塗料が飛んでしまうため、スプレーブースの中で作業するのがお勧めです。 -
2.缶スプレーを用意する
缶スプレーには多くのカラーバリエーション、ツヤの有無などがあります。
塗る対象物をどんな仕上げにしたいのかを決めてからどの缶スプレーを塗るかを選ぶと良いでしょう。今回はマットな仕上がりになるタイプを塗装してみます。
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3.下地の調整(足付け)
スプレーした塗料は霧状になって対象物に付着します。
ツルツルとしたところでは、せっかく塗った塗料が簡単に剥がれてしまいますので、細かい傷を表面につけておくようにします。このことを足付けと呼んでいます。
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細目(#320)のやすりを使用して傷をつけるとこのようになります。
やすりで削れたクズは布などで拭き取り綺麗に取り除いておいてください。
ゴミが表面についていると塗装後が滑らかにならずボコっとしてしまいます。
塗り方
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4.吹き付ける距離
使用する缶スプレーにもよりますが、対象物から大体20〜30cm離した位置からスプレーするのが適正です。
近すぎると塗料が垂れてしまったり、乾燥に時間がかかってしまいます。
逆に遠すぎると塗料が表面に薄くしか付かなくなってしまいます。大体、手の親指から小指を広げた長さが20cmくらいなので、わからなくなったら手で測ってみてくださいね。
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5.並行に噴射する
スプレーは横の方向に、対象物に向かって垂直になるように噴射します。
そのままゆっくりと横に並行に移動させるようにすると良いです。シャーっとジグザグや円を描くようにして塗らないように!
塗膜の厚さにムラができてしまいます。 -
図のように、塗る対象に向かって噴射口を垂直に向けるようにして、そのまま距離が変わらないように並行に移動させると、ムラなく塗ることができます。
噴射口が斜めになると、塗膜の厚いところと薄いところができてしまいます。
また、手の動かし方で弧を描きやすくなりますが、こちらも近いところでは塗膜が厚く、離れると薄くなってしまいますので注意して塗装を行いましょう。 -
6.塗り方のコツ
スプレーを吹き付けるときは、塗る対象の外側から始めて反対の外側に出るまで吹き続けます。そうすることで均一にスプレーされるようになります。
続いて塗るときには、噴射ボタンを押しっぱなしにするのではなく、1列ごとに手を離して平行移動をすることを心がけます。1列塗り終わったら、2列目は1列目に重なるようにして塗っていきます。
スプレーは真ん中に塗料の量が多くなり、周辺に向かって薄くなっていますので、薄くなっている部分を重ねていくイメージです。
塗膜の厚みが同じくらいになるように重ねていきましょう。
塗装面を確認
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7.塗った状態を確認
1度塗りした写真を見ると、このように表面に粒がたくさんついているように見えます。
均等に塗料がついている状態で何度か塗り重ねていきます。 -
下地が完全に透けなくなるまで塗り重ねたものがこちらです。
塗り重ねていくときに、乾いていないないままどんどん塗り重ねるのではなく、1度塗った後2〜5分程度軽く乾かしてから塗り重ねると、最終の乾燥が早くなりますよ。こちらはまだ乾燥していない状態のためツヤがあるように見えています。
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8.乾燥させる
完全に乾燥したら、完成です!
仕上がりがマットのタイプを使用したので、乾燥後はツヤが消えてきれいに発色しています。
塗り方のポイント
下地調整(足付け)の有無
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塗膜の食いつきを実験
缶スプレーを塗る際にやすりをかけた場所とかけていない場所を作り、乾燥後に上からテープを貼って剥がしてみました。
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足付けの有無で差が出た
同じようにテープを貼り付けてベリっと剥がしてみると、足付けしていない方は一部の塗料がテープに持っていかれ剥がれてしまいました。
塗膜の食いつきが違いが、これだけでもわかりますね。
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マイナスドライバーでキズをつけてみた
今度はマイナスドライバーで表面を削ってみました。
・足付けなし
方はペリペリと塗膜が広範囲に剥がれていってしまいました。
・足つけあり
ドライバーの角が当たっていたところのみひっかきキズのようなものができました。 -
さらに上からテープを貼って剥がしてみたところ、キズついた部分からより剥がれやすくなっているため塗膜が大きくテープに持っていかれてしまいました。
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結論
缶スプレーを使用する際には、多少面倒ではありますが、下地調整(足付け)を行うことをおすすめします!
せっかく塗ったところが長持ちするように、剥がれにくくなるように下準備して塗装をしましょう。
吹き付けパターンの種類
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缶スプレーの吹き付けのパターンには3種類あります。
定番のパターンは楕円型(平吹き)です。
縦長の楕円型では、横に動かしての塗装に、横長の楕円型では縦に動かしながらの塗装に向いています。
そして、丸型(丸吹き)は、マーキングや、スポットに噴射するのに適しています。用途、塗装したいものの形状でスプレーを選ぶと作業しやすいです。
こんなものを塗る時にぴったり
素材
素材
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木材
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金属
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プラスチック
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△
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◎
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◯
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木材
木の凹凸が塗装後も表面に見られます。
ツルッとした仕上がりにするためには、やすりがけをして下地調整を行うなどしておく必要があります。 -
金属
金属のものに塗る際には密着性を高めるため、表面の油汚れなどを専用のクリーナーでしっかり落としておくようにしましょう。
また塗料の食いつきを良くするためにやすりで表面に細かい傷をつけておく、または密着性を高めるプライマーを下地に塗布しておくのも良いでしょう。 -
プラスチック
プラスチック製品は、素材が何でできているかの確認をして置きます。
缶スプレーの溶剤には種類があるため、塗る対象を溶かす、塗料が定着しないなどが起きることがあります。
塗装対象の場所・もの
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プラモデル
プラモデルの塗装といえばスプレーですよね。
凹凸が多く、小さいパーツが多いのでハケではなかなか細かく美しく仕上げるのは難しいですが、スプレーなら表面の仕上がりも美しく塗装できます。 -
塩ビパイプ
ツルっと仕上げたいパイプの塗装にも。
ハケ跡が残らず表面が滑らかな状態で仕上げたいときに。 -
ラティス
木製のラティスは網目状になっているため、隙間を塗っていくのはとても手間がかかります。
スプレーなら吹き付けて塗装するため比較的簡単に塗れるので細かい部分が多いラティスにぴったりです。