レザークラフトや手芸、ファッションのワンポイントにも使われているハトメやカシメ。皮革や生地、薄板にあけた穴を補強したり繋いだりするためのパーツです。ここではハトメとカシメの種類や付け方を説明していきます。
ハトメとカシメの違いと種類、付け方
ハトメ ・カシメとは
ハトメ・カシメの基礎知識
ハトメとカシメの違い
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ハトメ、カシメは丸い小さなパーツで、布製品や機械のパーツに使われているのをよく目にするかと思います。
【ハトメ】
リング状で、布などにあけた穴の補強に使われるパーツです。
【カシメ】
丸いボタンのような形で、生地同士や薄板同士を繋ぐパーツです。最近では100円ショップや手芸屋さんでもパーツを取り付けるための道具が販売されており、簡単に手に入れることができるようになりました。
レザークラフトやバッグ・衣服を作る方など、ハンドメイドのシーンでも取り入れやすく、装飾性も高いため、デザインの一部に取り入れられることも多くあり。使用用途が幅広いのが特徴です。
特徴とメリットとデメリット
一覧
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ハトメ
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カシメ
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スナップボタン
ハトメ
皮革や生地などにあけた穴の周りを覆い、負荷がかかる部分などを補強する役割をを持つのがハトメです。
薄い素材なら複数枚重なっている物を繋ぐことができるため、カシメの代用としても使用されます。
見た目にも洗練された仕上がりになり、補強だけでなく装飾性も高いのがメリットです。
【種類】
・両面ハトメ:
両面どちらからみても丸い傘状で、仕上がりが美しい。
母材にあいた穴の両面から金具を通し固定する。
金具の端が潰れて折り返したところを、裏面に当てた金属の皿で受けるようになっている。しっかり留まる。
・片面ハトメ(座金付き):
表面のみ丸い傘状の仕上がり。
母材にあいた穴の表からは仕上げ用を通し、裏は座金を当てて固定する。
裏面で金具の端が潰れて折り返したところが、裏面に当てた金属の皿で受けるようになっている。しっかり留まる。
・菊割ハトメ:
表面のみ丸い傘状の仕上がり。裏側から見た時に潰れた金具の端が花が開いたように見える。
母材にあいた穴の片側から金具を通し固定する。
裏面で金具の端に刻みが入っており、その端は潰れて折り返して母材に直接食い付くような形になる。
革製品などに使用されることが多い。
【使用例】
レジャーシートの角、旗、
ベルト穴、靴紐の穴、鞄の持ち手の紐を通す穴
キーホルダーの紐の通る穴 など
カシメ
カシメとは、生地同士を留めて繋ぐ際に使用されるパーツです。
「かしめる」という動詞が語源になっているとされています。
頑丈に繋ぐことができるため、鞄の持ち手など負荷がかかる場所や補強に使用されます。
デザインの一部として、ポケットの周りや革製品のアクセントにも使用されることも多いです。
工業製品にもリベットというカシメを専用工具で取り付けて、金属板などの接合にも用いられます。
【種類】
・両面カシメ:
表裏どちらもボタンのような見た目
・片面カシメ:
表面だけボタンのようになっていて、裏面は真ん中に穴の開いた金具になっている
【使用例】
鞄の持ち手の留め具
革の繋ぎ、テントなどの繋ぎ
金属部分のつなぎ など
スナップボタン
2カ所に取り付けてパチンと開閉できるボタンです。
ハトメやカシメと同じように取り付けます。
【種類】
・アメリカンホック
・リングスナップ
・ジャンパーホック/ドットボタン
・バネホック
・ワンタッチプラスナップ(プラスチック製)
【使用例】
小物や衣類などの留め具
プレス用工具の種類
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ハトメ、カシメを取り付けるためには、専用のプレス工具が必要です。
打ちコマ(カシメ)
- 手打ちタイプ
- ハンマーで打ち棒を叩く
- 取り付け場所の自由度が高い
打ちコマ(ハトメ)
- 手打ちタイプ
- ハンマーで打ち棒を叩く
- 取り付け場所の自由度が高い
ハトメパンチ
- ハンドグリップで取り付け
- 手軽・コンパクト
- 端の方にしか取り付けられない
ハンドプレス機
- ハンドプレスで取り付け
- 本体と打ち駒が必要
- 作業性が高く簡単
- 多量の作業向け
- 端の方にしか取り付けられない
- ハトメ・カシメ・ボタンどれも可
ハトメの取り付け方
穴をあける
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穴あけポンチを用意する
ハトメにはサイズが様々あります。
ハトメの内径にあったサイズの穴をあけるようにします。
穴が大きすぎるとハトメがしっかり留まらず、抜け落ちてしまいますので注意が必要です。ポンチは2.4mm、3.0mm、3.6mmの使用頻度が高いです。
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穴をあける母材の下にゴム板を敷いて、その上からハンマーでポンチを叩いて穴を開けましょう。
ゴム板がない場合はいらなくなった雑誌などでも代用できます。
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穴あけできる道具もある
ハトメパンチの中には、穴をあける機能のついた商品もあります。
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ポンチが必要ないため簡単に穴あけが可能です。
ただし、大きい素材の真ん中に穴をあけたいという時には不向きです。
ハトメパンチの使い方
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ハトメパンチの先に付いた打ち台の部分は表と裏で形状が違っています。
穴が開いている方がハトメの表面、先端が凸になっている方が裏面になるようにパーツをセットしましょう。
この時に方向を間違えてしまうと、きちんと留まらず失敗します。 -
穴にパーツを通す
ハトメの内径に合わせてあけておいた穴にパーツを通します。
両面ハトメや座金付きの片面ハトメを使用する場合は、裏側に来るパーツもセットしておきましょう。 -
ハトメを打つ
最初に確認した通り、打ち台の方向に気をつけて挟み込んでハトメを打ちます。
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表面の仕上がり
表面の仕上がりはこちら。
母材に開けた穴よりひと回り大きく覆ったようになります。金具の素材や色、大きさは種類がありますので使用用途にあった物を選びます。
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裏面の仕上がり
座金なしの片面ハトメの場合の裏側の仕上がりはこのような形です。
金具の端が潰れて折り返しているのが見えます。
均等に力が入っていないと、折り返しが甘い部分ができてハトメが抜けてしまいますのでその際はやり直してください。
ハトメとカシメの外し方
ハトメを取り外したい時
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ハトメが不要になって取り外したい時には、ニッパーやペンチ、キリを使って取り外すことができます。
ただし、母材である布地や革を傷めてしまうことも多いので注意してください。【方法】
・裏側を向けてハトメを打った時に金具の端の潰れて折り返した部分を、ニッパーやキリを使い起こしていくようにすると外れます。
・座金がついているものは、ニッパーで座金を切っていくようにしましょう。
・両面ハトメの場合は、裏側を向けハトメの周りをニッパーで切り、ラジオペンチで起こしていくとだんだんと抜けるようになります。
カシメを取り外したい時
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カシメはハトメのようにニッパーで切っていくことが難しい形です。
そこで「金具はずし」という商品を使うと簡単に外すことが可能です。【方法】
・金具が固定できる「金具はずし」の台の上に乗せ、ピンポンチを真ん中にハンマーで打ち付けるだけ!
・特別な道具がないばあいでも、真ん中にキリなどで穴をあけていき抜けた感覚があれば外すことが可能です。
リベッターを使用する
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リベットとは金属製の小さな留め具です。
部材と部材を固定するための道具で、カシメと同じような役割ではありますが、半永久的で高い強度の締結を行えるのが特徴です。
用途は様々ですが、一般的には建築物を建造する際や、航空機などの機械の締結に使用されているため、DIYではなかなか目にする機会は少ないかもしれません。
ハンドリベッター
- 手動
- 小型
- 簡単にすぐ使える
- 作業効率:低い
電動/エアリベッター
- 電動
- 力がいらない
- スピードが速い
- 作業効率:高い
リベットとは
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リベットを打つためには、専用の道具と専用のパーツが必要です。
リベットは片方が棒状でもう片方がフランジ状になっていて、その先端を潰して変形させることで締結を行います。
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リベットは基本的に取り外すことを想定していません。そのため外れるという心配もほとんどありません。
また、裏側にパーツや工具を入れる必要がないため、表面からリベットを差し込むだけで作業することができます。
リベッターの使用方法
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部材を用意する
リベットで締結したいものを準備します。
リベットには太さと、固定できる厚みに種類がありますので、それに合ったものを用意しておきましょう。 -
部材を重ねる
部材同士を締結させるための道具なので、穴の位置がずれないように2つの部材をピッタリ重ねます。
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リベットをセットする
リベットを差し込みます。表面になる方に棒状の端(シャフト)が出るようにしておきます。
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リベッターでかしめる
シャフトをリベッターにセットしてハンドルを数回引きます。
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シャフトを取り除く
裏側でリベットがしっかり締結されるとシャフトが勝手に折れますので、取り除いたら完了です。
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裏側から見たところ
端がギュっと引き込まれて丸く潰れているのが分かります。
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表から見たところ
表面から見ると、中央に軸が残った丸いボタンのような形で仕上がっています。
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布や皮革にも
金属だけではなく、布や皮革にもリベットを打つことができますよ!
その他の種類
ねじ式の鋲(カシメ)
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ネジを締めて取り付けるタイプ
取り付けるための特別な道具が不要な、ネジ式のカシメもあります。
母材に穴をあけておき、そこにパーツを差し込んでネジをドライバーで締めるだけです。 -
裏側から見るとネジの頭が見えます、
確実に固定する通常のカシメとは違い、ネジが緩んでくることがありますので外れてしまわないように注意が必要です。 -
丸い頭のカシメや、円錐型の鋲のように装飾性の高いものが多いです。
つけ外しも簡単で手軽なので、DIYで取り入れてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
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ハンドメイドやクラフトで使用する機会の多いハトメやカシメ。
目にする機会は多くても、なかなか自分で取り付けるということはないかもしれません。
DIYでも木と相性のいい皮革などを使って、是非ハトメやカシメも取り入れてみてくださいね!