お気に入りに追加されました
メニュー

蜜蝋ワックスとは?塗り方と仕上がり

蜜蝋ワックスとは

蜜蝋(みつろう)ワックスとは、ミツバチの巣からとれる蝋成分と植物由来のオイルを混ぜて作る、自然素材のワックスです。
木材や本革に塗布することで表面に皮膜をつくり、保護する役割があり、家具やフローリングなどの仕上げとして、ツヤだしや撥水の効果も得られます。
しっとりとした仕上がりで自然な木材のさわり心地を味わえるところが人気のある点です。

蜜蝋ワックスの特徴

  • 仕上がり

    蜜蝋(みつろう)ワックスは、木材のテーブルなどの家具の仕上げに塗るのに使用されます。
    着色をするというよりも、塗り込むことで木材に浸透し、濡れたような色合いを出してくれます。

  • 質感

    蜜蝋ワックスは柔らかいクリーム状で、伸びが良くとても塗りやすいです。

  • 匂い

    香りはあまりキツくはありませんが、植物油と混ぜているため油絵具のような匂いがします。
    シンナーのような有機溶剤などの鼻をつく臭いではありません。

    時間が経つと匂いはだんだん薄くなっていきます。

メリットとデメリット

  • メリット

    ・自然素材でできているため、安心して使える
    ・よく伸びるため少量でも広範囲の塗装が可能
    ・撥水効果がある

  • デメリット

    ・耐久性がないため定期的なメンテナンスが必要
    ・防腐剤が入っていない場合はカビが生えることがある
    ・熱に弱く、45〜60℃で溶けてしまう
    ・使用期限が2年ほどと短い
    ・屋外の使用には不向き
    ・乾燥に時間がかかる

蜜蝋ワックスの仕上がりを比較

    • 蜜ろうワックス
    • 蜜ろうクリーム
    • 自然オイル

蜜ろうワックス

  • 無臭蜜ロウワックス(ターナー色彩)を使用してみます。

    蜜蝋に加えてパラフィンワックスなどが含まれるため少し白っぽい見た目です。
    バターのような質感で、匂いはほとんどありません。

  • 木材に塗る時もスルスルっと伸びが良く塗りやすいです。

  • 割れたところに詰まってしまい、そのまま白く残りますので塗る時には注意が必要です。

蜜ろうクリーム

  • みつろうクリーム(尾山製材株式会社)を塗ってみます。

    天然素材のみを原材料とした蜜ろうクリームで、黄色っぽい見た目です。
    ワセリンのような質感で、木の表面をケアしているような感覚で塗ることができます。

  • 塗った直後はベタベタとしますが、30分程度乾かしてから乾拭きすると、しっとりとした仕上がりになります。

自然オイル

  • オイルフィニッシュのお米のオイル「キヌカ」を塗ってみます。
    蜜ろうワックスとは別物ですが、比較として見ていきます。

    植物由来の油100%で、とろっとした液状です。

  • 木の表面に皮膜を作らずサラサラとしています。
    指で撫でると油がつきやすいですが、時間が経つと徐々に無くなります。

蜜ろうワックスの塗り方

  • 1.準備

    蜜ろうワックスはウエスやスポンジを使って塗布していきます。
    手や肌についた場合は石鹸で洗えば落ちますが、塗装用手袋をして作業すると手が汚れず作業もしやすいです。

  • 2.木の表面を整える

    塗る前に木材の表面をやすりがけして、仕上げた状態にしておきます。
    表面が少しザラザラしていたとしても、ムラにならず色味が均一に塗ることができますが、仕上がりとしてはあまり良くありません。

  • 3.塗り込む

    蜜ろうワックスをウエスに取り、刷り込むようにして薄く塗り広げます。

    塗ってすぐはベタベタします。
    そのまま30分以上乾燥させましょう。その間に内部にも浸透していきます。

  • 4.乾拭きする

    塗り終わったそのままだとまだベタベタした状態です。
    何もついていない乾いたウエスで表面を乾拭きして余分を落として仕上げましょう。

  • 定期的なメンテナンスを行う

    蜜蝋ワックスはとても薄く木の表面に残っていますが、皮膜が固まっているわけではありません。
    塗りたての頃はしっかりと美雨を弾いたりと保護機能もありますが、だんだんと摩擦などで削れてその機能も失われていきます。

    メンテナンスとして、大体3〜6ヶ月の間隔で塗り直しするのがお勧めです。

塗装面を確認

  • 蜜ろうワックス、蜜ろうクリーム、自然オイルを木材に塗ってみたところを比較してみていきます。

  • 杉材・1x4材に塗った場合

    DIYでよく使用される杉や1×4に塗ってみました。

    元々白っぽいである1×4材には、どれを塗ってもほとんど変化はありませんでした。
    杉の赤身の部分は濡れたような深い色合いになりました。

    ・蜜ろうクリーム
    しっとりとした濡れ色

    ・蜜ろうワックス
    杉材・1×4に塗ったところ色の変化は少ない

    ・自然オイル
    より深く濡れたような色あい

  • オーク材・ウォルナット材に塗った場合

    家具やフローリングの木材で人気のあるオーク材・ウォルナット材に塗ってみました。
    水で濡らしたときのような濡れ色になります。元の無塗装の状態の色味が好みの方には、色味の雰囲気がかなり変わってしまうところは気になる点かもしれません。

    ・蜜ろうクリーム
    しっとりとした濡れ色

    ・蜜ろうワックス
    濡れ色に白っぽい膜が張ったような仕上がり

    ・自然オイル
    より深く濡れたような色あい
    木目がしっかり出る

  • 塗布後24時間経過したところ

    3つの塗料を塗り、一定時間を経過した木材を観察したところ、塗料によって浸透する度合いが違っているのがわかりました。
    内側から保護する力が強いのか、表面を保護する力が強いのかによって使い分けるのも良さそうです。

    ・蜜ろうクリーム
    自然素材の蜜ろうと植物油を使用しているため、油分がじんわりと浸透し広がっているのが見える

    ・蜜ろうワックス
    蜜ろうにパラフィンワックスを加えているため、表面に残って保護力を高めている

    ・自然オイル
    蜜ろうを含まない植物油のため、浸透度が高く周囲にどんどん広がっていっている

  • 光の反射を観察する

    3つの塗料を仕上げた状態で光に当てたところ、少しずつ見た目が違うことがわかります。

    ・蜜ろうクリーム
    木目がはっきり見えるのと、表面にほんのりとツヤのある美しい仕上がり

    ・蜜ろうワックス
    光をしっかり反射する仕上がり。表面にロウの成分が多く残っているのでツルツルとしている

    ・自然オイル
    塗膜が表面にできないため、反射は少ないが木の内側からオイルで瑞々しくなっている部分が淡く光沢があるように見える仕上がり

撥水効果について

  • 水から木を守る

    蜜ろうワックスはロウの成分が水を弾いてくれる効果があります。

    ただし完全に弾き続けるわけではなく徐々に水が浸透いってしまいますので、水に濡れたらすぐに拭き取るようにしでください。
    濡れたまま放置すると、木に染みができてしまいます。
    その時は染みが薄くなるように表面を強く擦り、改めて蜜ろうワックスを塗るようにしてください。

  • 3つの塗料の撥水効果を比較してみます。

    ・蜜ろうクリーム
    しっかり撥水しています。
    拭き取り後薄く染みが残ってしまいます。

    ・蜜ろうワックス
    3つの中で1番よく撥水しています。
    拭き取り後薄く染みが残ってしまい、少し目立ちます。

    ・自然オイル
    水がダラっと広がってしまっていますが、拭き取り後も見た目はほとんど変わりません。
    内側から木を保護しているので水がどんどん内部に入り込んでいくわけではなさそうです。

こんなものを塗る時にぴったり

塗装対象の場所・もの

  • 無垢材のテーブルやフローリング

    無垢材を使用したテーブルの天板やフローリングは、その木の質感を素肌で楽しむのにぴったりの素材です。
    せっかくなら、ウレタンニスなどで塗ってしまわず、手はかかりますが蜜ろうワックスで仕上げることで愛着を持って使うことができますよ!
    使い込む程に深い色合いになっていくのを楽しめます。

  • 木製のカトラリー

    木の質感をそのまま手にとって感じられる木製のカトラリーにも蜜蝋ワックスはぴったりです。
    自然素材のみで作られた蜜ろうワックスであれば口に入れるものにも塗ることができます。
    注意点として、お子さまにアレルギーとして体調が悪くなる可能性がありますので、小さいお子さまが使用されるものは避けたほうがいいかもしれません。