こどもの頃に木工作品のツヤ出しや保護のために塗った記憶があるのではないでしょうか。
DIYでは仕上げとして、テーブルや棚などにウレタンニスを塗ることがあります。
ニスを塗ることで表面に硬い樹脂の膜を作り、傷や凹みから守る役割や、汚れやシミなどを防ぐ効果があるため、テーブルなどを美しい状態で保ってくれます。
ウレタンニスの耐久性は6〜8年とされていますので、長い期間メンテナンスの必要がありません。
ニスの塗り方、きれいに仕上げる方法
ニスの役割とは
準備するもの
- ウレタンニス(水性)
- ハケ
- コテバケ
- マスキングテープ
- マスカー
- やすり
塗り方の手順
準備〜下地調整〜
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1.木の表面を整える
木材の表面にニスを塗る場合は、下地調整でやすりがけをしておくようにします。
そうすることで凹凸や汚れが取れて、仕上がりがツルッとフラットな状態になります。木材には#300くらいまでの紙やすりを使用して、木目に沿ってやすりがけを行います。
ランダムにやすりがけをすると傷がついてしまいますので、木目方向に真っ直ぐやすりを動かして、表面に凹凸がなくなるまで整えます。 -
やすりがけをすると、細かい木の粉が発生します。
この粉がニスと混ざってしまうとザラザラになってしまうため、塗装前に乾いた布もしくは水を固く絞った布で表面をきれいに拭き取っておいてください。
このときに水分を多く含んだ布で拭いてしまうと、木の粉は取れますが木の繊維の方が水分を含んで膨らみ毛羽立ちができてしまいますので注意してください。 -
やすり前と後の表面を比べると、製材時のキズや木目の凹凸がフラットになったのがわかります。
この上にニスを塗ることで塗膜の厚みも均一になります。
準備〜塗装の前に〜
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2.ウレタンニスを用意する
ニスとひとくくりに言っても、アクリルニス、ウレタンニス、ラッカーニスなど多数の種類があります。
またその中でも、水性・油性、ツヤあり・ツヤ消し、カラーニスと様々あります。今回は、DIYでもよく使用される水性ウレタンニスの透明ツヤありのものを塗装してみます。
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3.養生する
作業台や周辺のニスが付いてはいけない場所を、マスカーやマスキングテープで覆っておきましょう。
塗り方
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4.ハケにニスをつける
ニスは使用する前に容器を良く振っておくようにします。
塗料カップにニスを入れたら、ハケにニスを良く含ませます。
ハケからダラダラとニス が垂れるままにせず、カップの縁で良くしごいておきましょう。ニスの粘度が高くて塗りにくい場合は、使用するニス にあったうすめ液で希釈してください。
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5.木目に沿って塗る
ニスを塗る時はできるだけ一筆で端から端まで塗るようにします。
何度もハケを着けたりあげたりすると、ハケのあとが目立ってしまいます。ニス が面全体に塗れたら、乾いてしまう前に表面を平すようにハケでサーっと撫でて整えます。
手早く行わなければ、塗ったところからどんどん乾いてしまって、上から整えるときに逆に塗装面を荒らしてしまうことになりますので、乾かないうちにササっと作業を進めましょう。1度塗りができたら、一度乾燥させます。
ニスを塗るのに使用しているハケはそのまま置いておくとカチカチになってしまいます。
面倒かもしれませんが、2度塗りまで時間が空きますのですぐに洗っておきましょう。 -
6.コテ刷毛で塗る場合
広い面や長尺のものを塗る時は、ニスをたくさん含ませられるコテ刷毛が便利です。
ニスをトレーに入れてコテ刷毛に含ませます。
余分な量は軽く落としておきましょう。 -
刷毛で塗る時と同じく、木目に沿って一筆で塗っていきます。
何度も同じ場所を通ると、重なった部分の塗料がだんだん乾いていたりして、塗膜が逆に剥がれてしまいますので、素早く全体に塗りましょう。 -
ローラーはオススメしません
広範囲を塗装するならローラーが便利、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ニスを塗るに当たってはお勧めしません。
ローラーは転がるたびに気泡が生まれるため、塗膜がボコボコとしてしまいます。
ツルッとした仕上がりを目指す場合は使用しない方が良いでしょう。 -
7.2度塗り、3度塗りをする
始めに下地調整で木の表面をやすりがけしましたが、ニスを塗ることで木の表面に水分が含まれて少し毛羽立ちます。
1度目の塗装が終わった後十分に乾燥させてから、#400くらいの紙やすりなどを使用して撫でるように表面を整えます。
しっかりやすりをかけるというよりも、毛羽立ってざらざらしている部分を落とすというイメージです。やりすぎるとせっかく塗った塗膜が全部剥がれてしまいますので優しく作業しましょう。やすりで出た削りカスをきれいに拭き取って、先ほどと同じように重ね塗りしていきます。
しっかり保護したい場合は3度塗りまでするのもいいでしょう。 -
8.乾燥させる
乾燥させるときは、直射日光を避けて自然乾燥させましょう。
表面に埃や細かいゴミがつかないように注意してください。乾燥時間は水性、油性や製品によって変わりますので、説明を良く読んでください。
塗装面を確認
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9.塗った状態を確認
無塗装とニスを塗った1×4を並べてみました。
無塗装の1×4に比べると、ニスを塗った1×4は色が濃く見えるようになりました。
また、ツヤありのニスを塗ったことから表面に光沢が出て光を反射しています。
無塗装のような木の質感は残っていません。 -
やすり作業の有無での仕上がりの違い
ニスを塗る前、途中に素地の調整を行ったかどうかでの仕上がりの違いを比較してみました。
①下地調整あり、途中の研磨あり
木目の段差やざらつきもなく、ツルツルスベスベの仕上がりに。②下地の研磨あり、途中の研磨なし
下地の研磨はしたものの、重ね塗りする前にやすりをかけなかったことで毛羽立ちがそのまま仕上がりに響いてしまっています。③下地の研磨なし、途中の研磨なし
元々の木のザラつき、ニスを塗ったことによる毛羽立ちが影響してニスを塗り重ねてもザラザラしたままで、反射した状態も美しくありません。3つの塗り比べた結果を見てみたところ、少し面倒ですが下地の研磨と途中の研磨はやはり行った方が良さそうです。
塗り方のポイント
ニスと造膜系塗料の仕上がりの違い
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見た目の違い
ニスは造膜系塗料のひとつですが、色を塗るという意味合いの強い塗料と比べてみると、ハケ跡が少し残りにくいです。
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上からニスを塗ってみたところ
木材に色を塗った上からニスを重ね塗りしたところ、ニスを塗った時の方が色が濃く見えるようになりました。
また、ツヤありのニスを上塗りする場合はマットの塗料の風合いはなくなってしまいました。先ほどハケ跡が残りやすいと説明していたように、カラーの状態で仕上げたときにハケ跡が残っている上からニスを塗っても、フラットにならずハケ跡がうっすら見えるような仕上がりとなりました。
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結論
木の上からそのままニスを塗るときには、素地調整が必須!
カラーの塗料の上から塗る場合には、色の見え方が変わってしまうので注意。
マットのニスを塗った場合にも色味は濃く見えてしまいますが、ツヤツヤとした仕上がりにならないようにしたい場合には仕上がりがマットになるニスを使うと良いでしょう。
こんなものを塗る時にぴったり
塗装対象の場所・もの
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テーブルトップ・カウンター
テーブルはモノをおいたり、書き物をしたり、食事をしたりと人がよく触れる場所です。
摩擦による傷や、凹みなどが多く付いてしまう可能性がありますので、保護の意味でもニスを塗っておくと良いです。
塗膜がある程度硬質なため、木そのままの状態よりも美しい状態を保ちやすいです。 -
イスの座面
木製のイスにもニスを塗っておくと良いでしょう。
木の風合いを生かしたワックスでの仕上げは軽度の保護ができ見た目も美しいですが、ワックスは摩擦などによる色移りが心配されますので、実際に座る用途なのであればニスの仕上げがオススメです。