お気に入りに追加されました
メニュー

刷毛の種類と選び方

刷毛(ハケ)とは

材料に塗装する際に使用する道具として最もポピュラーなハケ。馴染みのあるハケにも形や毛の種類が多々あり、それぞれ塗り心地も違います。

刷毛の基礎知識

  • 刷毛の用途・役割

    塗装の際に塗料などを塗るときに使う道具です。
    水性塗料用、油性塗料用など使用するそれぞれの塗料に適した毛質の刷毛があります。馬毛、豚毛、山羊毛、化学繊維など毛の種類も様々で、毛質によって塗料の含み具合が違ったり、塗ったあとのハケ目の残り具合が違ってきます。
    また、筋交い刷毛や平刷毛、ローラーなど形状やサイズも様々なものがあります。塗装する対象物の大きさや箇所によって適した形状やサイズを選びましょう。

刷毛の形状からみた種類

一覧

  • 筋交い刷毛

  • 平刷毛、ベタ刷毛

  • 寸胴刷毛

  • 金巻刷毛

  • コテ刷毛

    コテバケ

  • スポンジ刷毛

    スポンジ刷毛

  • 塗装用ローラー

    ローラー

筋交い刷毛

筋交い刷毛とは「すじかいばけ」と読み、筋違刷毛とも呼ばれています。
柄の部分の筋が斜めになっている刷毛で、鉛筆を持つような持ち方をするとちょうど良い角度で、刷毛の毛先が均一に塗装面に当てやすくなります。実は海外にはなく、日本独特の形です。

平刷毛、ベタ刷毛

柄が毛先に対してまっすぐな形です。主に平らで比較的大きな面積を塗る際に使用します。

寸胴刷毛

寸筒刷毛とも呼びます。
他の刷毛と同じ形状ではありますが、毛量が多いのが特徴です。塗料の含みが良いのでたくさんの塗料を一度に塗ることができます。特に粘度の高い塗料を伸ばして塗ることに適しています。
寸胴刷毛のサイズは、毛の束の幅で大きさを表します。

金巻刷毛

毛の根本を金属で巻いて柄に固定しているタイプの刷毛。柄に毛束を挟んで留めているタイプよりも少し毛量が少ないため、塗料の含みは少ないですが、細かい作業をする時にはちょど良いでしょう。

コテバケ

コテ刷毛

プラスチックの柄と固定台の下に、短い毛のついたスポンジをつけた塗装道具です。
塗料の吸収率が良いため、広い面を効率的に塗るのに向いています。平らな面には塗料が比較的途切れることなく、均一に綺麗に塗ることができます。また刷毛あとも目立ちにくいです。

スポンジ刷毛

スポンジ刷毛

柄の先がスポンジになっている塗装道具です。スポンジに塗料を吸い込ませて塗るため、さらさらとした塗料と相性が良いです。ステインの塗装で活躍します。

ローラー

塗装用ローラー

刷毛以外の便利な塗装道具というと、ペイントローラーです。
壁や大きな板など広範囲に塗料を塗布したいときに使用します。
ハンドルに使用シーンに合わせたローラーを差し込んで使用します。ローラーには、毛の長さや幅、素材に違いがあります。例えば、毛丈が長いローラーは塗料をしっかり含むため、凸凹のある面への塗装に適しています。反対に、毛丈の短いものは塗料が垂れることが少ないので、平たくなめらかな部分への塗装に適しています。

刷毛の毛の素材から見た種類

一覧

  • 刷毛_水性用

    水性塗料用刷毛

  • 刷毛_油性用

    油性塗料用刷毛

  • 刷毛_ニス用

    ニス用刷毛

  • 万能用刷毛

  • 馬毛刷毛

  • 豚毛刷毛

  • 山羊毛刷毛

  • 化繊刷毛

水性塗料用刷毛

刷毛_水性用

水性塗料専用の刷毛で、毛の素材は化学繊維が多いです。
毛はやわらかめですが、メーカーによっては毛のコシの固さに種類があるところもあります。

油性塗料用刷毛

刷毛_油性用

溶剤系の油性塗料に適している刷毛で、毛の素材には化学繊維と山羊毛や馬毛などの獣毛と配合されているものが多いです。
刷毛の毛を束ねている接着剤も耐溶剤性で出来ています。毛はしなやかでコシがあります。

ニス用刷毛

刷毛_ニス用

ニスやラッカーといった粘度の低い塗料に適した刷毛です。
毛の素材は柔らかい化学繊維と山羊毛などの獣毛と配合されているものが多いです。水性塗料用は毛などと比べて毛の長さが比較的短く毛量が少し多いのが特徴で、塗料の含みがよく刷毛跡が残りにくい工夫がされています。

万能用刷毛

水性塗料、油性塗料どちらにも使える刷毛で、広い用途で使えます。ただし、1つの刷毛で水性塗料・油性塗料を混ぜて使わないように気を付けましょう。
毛の素材は化学繊維が使用されているものが多いです。

馬毛刷毛

刷毛の毛材としては使用頻度が高く、弾力性・柔軟性に優れています。
塗料の含みは豚毛と山羊毛の中間で適切なコシがあり、静電気が起こりにくいです。また、同じ馬毛でも本毛・尾毛など部位によって柔らかさや長さ、太さが異なります。

豚毛刷毛

毛質が太く、毛腰は非常に強く毛先は柔らかいため、粘度の低い防虫防腐材の木部塗装に最適です。太くて弾力性・柔軟性に優れ、馬毛よりも硬く腰のある毛質です。

山羊毛刷毛

馬毛、豚毛よりも塗料の含みが良く、毛質が柔らかいためハケ目が残りにくいのが特徴です。また、山羊毛も粘度の低い防虫防腐材の木部塗装などに向いています。

化繊刷毛

PP・PBT・ナイロン・アクリルなどがあり、それぞれの特徴を活かし組み合わせることによって速乾性塗料や溶剤などに対応しています。塗料の吸収率が低いため、主に水性塗料刷毛に使用されます。
獣毛に比べると耐摩耗性、耐薬品性に優れています。また、毛の寸法が獣毛よりも安定しているため多くのハケで使用されています。

刷毛の選び方

  • 塗料の種類から選ぶ

    水性塗料、油性塗料、ニス、といったそれぞれの塗料に使われている成分や粘性などに適した毛質の刷毛がそれぞれあります。使う塗料に合わせて刷毛を使い分けましょう。
    さらに、一度油性塗料に使った刷毛を水性塗料に使うなど、他の種類の塗料と刷毛を混ぜて使用するのは避けるのがベストです。
    また、どのような塗料でも対応できる万能用の刷毛もあり、比較的広い用途で使える便利な刷毛です。

  • 形状から選ぶ

    筋交い刷毛や平刷毛などの一般的によく見かける筆のように塗料を塗る刷毛の他にも、コテバケやローラーなど形も用途によって様々な種類から選ぶことが出来ます。
    まずは塗る範囲から想定してみましょう。比較的狭い範囲であれば筋交い刷毛、細かい箇所には毛の量が少ない小型の金巻刷毛、比較的広い範囲であれば平刷毛、さらに広い範囲を塗るのであればコテバケやローラーで塗るのが効率的で美しく仕上がります。
    他には、塗る素材からも想定してみましょう。
    例えば「広い範囲に適している」と言っても、コテバケは塗料の吸収率がいいため平らな面には一気に比較的均一で綺麗に塗装できますが、凹凸が多かったり、狭い部分には向いていません。
    塗る対象のものに合わせて塗装道具を変えるのが綺麗に仕上がるコツです。

  • 毛の種類から選ぶ

    大きく2種類に分類すると、動物繊維の毛と化学繊維の毛に分かれます。
    中でも動物繊維はさらに動物の種類によって毛質が変わってきます。どちらも特に優劣はなく、こちらも使う目的によって選んでいきます。動物繊維であれば、馬毛は刷毛として使われていることが多い毛質です。豚毛は馬毛よりも硬く腰があり、粘度の低い塗料に最適です。また、山羊毛は馬毛や豚毛よりも塗料の含みが良いので、比較的ハケ目が残りにくいです。
    化学繊維は主に水性塗料用刷毛に使用されます。獣毛との違いとしては、耐摩耗性・耐薬品性に優れ、毛の寸法や毛幅に統一感があります。その分動物繊維に比べると塗料の含みは少ないです。

刷毛の使用上の注意

  • 刷毛のおろし方

    新品の刷毛には、余分な毛やゴミが混ざっています。そのまま塗料につけて塗ってしまうと、それらが混ざってしまって仕上がりにも影響が出るのでしっかり事前に処理をしましょう。
    新品の刷毛のおろし方は、まずハケを両手で挟み、クルクルと回します。これで抜け毛が飛び出します。
    次に、手でしごきます。あまり強い力で引っ張ると余計に抜けてしまうので注意しましょう。
    最後に100番くらいの粗さのサンドペーパーでならして毛先を整えてください。どんな刷毛でも新しいものは必ずこの事前準備をしましょう。

  • 刷毛の洗い方

    【水性塗料】まず、刷毛を洗う前に刷毛についた塗料はヘラなどでしごいたり、できる限り紙に塗りつけてから洗いましょう。水洗いでおおよそ綺麗に塗料がとれたら、食器用洗剤を使って洗うことで乾いたときに刷毛がゴワゴワになってしまうのを防ぐことができます。
    【油性塗料】さらに念入りに塗料を落としてから、水ではなくペイントうすめ液など塗料に適した洗い液で洗いましょう。

  • 刷毛の乾かし方

    キレイに洗ったら陰干しをします。この時に毛先を下にして吊るして干したりすると、残った塗料の樹脂分が下に垂れてしまい毛先を固めてしまう可能性があるので、毛先を上にして干すことをおすすめします。
    また、ハケ同士が密着していると十分に乾かずカビてしまうこともあるので、しっかり乾燥させるようにしましょう。