ネジを締める、穴をあけるなどの作業で活躍する電動ドライバー。その中でもよく見るインパクトドライバーとドリルドライバーは何が違うのでしょうか。それぞれの機能を比較していきますので、購入の際のヒントにしてみてください。
インパクトドライバーとドリルドライバーの違い
2つのドライバーの違いとは?
基礎知識
電動ドライバーはいつ使う?
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電動ドライバーがよく使われるのは、引越しの時に組み立て家具を作ったり、ちょっとした棚やフックを壁に取り付けたりと、普段の生活の中で住まいに手を加えたい時が多いです。
もちろんDIYでオリジナルの家具やインテリアを作るときにも最も使用される電動工具でもあります。
手動のドライバーよりも、力が多くかからず操作が簡単な上、正確でスピーディーに作業ができるため、一度使ってみると「なんだもっと早く使ってみればよかった!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。この電動ドライバーには「インパクトドライバー」と「ドリルドライバー」の2種類に大きく分けられます。
形も機能もよく似ているこの2つですが、実は大きな特徴の違いがあります。
まずは2つの工具のことを知ろう
インパクトドライバー
- パワーが強い
- 作業音が大きい
- 使用時慣れが必要
ドリルドライバー
- 正確な作業に
- 作業音が静か
- 初心者でも扱いやすい
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インパクトドライバーの特徴
インパクトドライバーとは、その名前の通り「インパクト(打撃)」が加わる「ドライバー(ねじ回し)」のことで、パワーが強いのが特徴です。
本体にドライバービットやドリルビットを装着することで、ネジ締め、穴あけ作業が可能です。
・長いネジを打つ
・硬い材料にネジを打つ
・大量のネジをスピーディーに打つ
などの作業が得意です。作業中に一定以上の負荷が加わると、ただ回転している状態から回転方向に打撃が加わるようになります。叩く力でビットを回すというイメージです。
このときに「バリバリバリバリ」とかなり大きな打撃音が鳴り響き、持つ手にも振動が伝わってきます。長時間の作業の際には手が疲れやすいということもあるでしょう。 -
ドリルドライバーの特徴
ドリルドライバーは「ドリル(穴あけ)」と「ドライバー(ねじ回し)」のどちらもこなす万能な電動工具です。
先端は真っ直ぐ回転するため、正確な穴あけ作業や、下穴の空いている場所へのネジ締め作業が可能です。
・下穴をあける
・正確な穴あけ
・ネジ締め(長いネジや硬い素材には不向き)
特徴と機能の違い
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インパクトドライバーとドリルドライバーの機能の違いは、
・チャック
・スピード切り替えスイッチ
・クラッチ機能
・回転時の打撃の有無
があります。
チャックの違い
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チャックとは、先端にビット(工具)を取り付け固定るする部分のことを指します。
インパクトドライバーのチャックは、6.35mm角の六角形のみ取り付けられるような形になっています。
対してドリルドライバーのチャックは、口径に収まるサイズなら軸が太くても細くても取り付けられます。ビットの形状も六角軸、丸軸のどちらもセットすることが可能です。ドリルドライバーには、インパクトドライバーと同じ形状のチャックの商品もありますので、6.35mmの六角軸しか使用しないという方はそちらを選んでも良いでしょう。
回転スピード切り替えスイッチ
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ドリルドライバーにのみ、回転スピード切り替えスイッチというものがついています。
スイッチには「1/low」「2/high」と書いてあり、MAXの回転数を切り替えることが可能です。
「1/low」は「低速」で、確実にネジ締めを行うとき
「2/high」は「高速」で、木材の穴あけを行うとき
と、それぞれ作業に合わせて設定すると作業がスムーズです。
クラッチ機能
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もう一つ、ドリルドライバーにのみついている機能で、クラッチ機能があります。
本体にあるダイヤルでトルク(ネジを締め付ける強さ)を、1から20(※メーカーによって違う)まで設定することが可能です。トルクは1が弱く、数字が大きくなるごとに強くなっていきます。
設定されたトルクに達すると、クラッチ機能がきいて空回りするようになります。
同じネジを同じ素材に大量に締めるときにトルク調整ダイヤルを設定しておくと、常にちょうど良い締め付けで作業し続けられるため、手際良く作業ができます。20よりもさらに回すとドリルモードになり、クラッチ機能が解除された状態になります。穴あけ作業時にはドリルモードに設定しましょう。
回転について
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回転と打撃
ドリルドライバーは回転のみ、インパクトドライバーは回転に加えて打撃が加わります。
回転のみのドリルドライバーは、軸ブレも少なくきれいな穴をあけることが可能です。ネジ締めの際はネジが入り込むのにパワーが必要になると自身でねじ山からビットが外れないように力を加えたりする必要があることも。
DIYで加工しやすい木材を使って組み立てをするときには、下穴をあけて、ネジを締めるような作業であれば特に問題はありません!インパクトドライバーは、作業中回転に負荷がかかると回転方向に打撃が加わり、回す力をアップするというような仕組みです。
ドリルドライバーよりも軸には少し遊びがあるため、穴あけの際にも少しだけぶれることがあります。また、穴あけ途中に打撃が加わると、細い下穴錐などでは途中で折れる可能性もありますので、パワーが必要な穴あけ作業以外では使用しない方が良いでしょう。
ネジの締め付け力ではインパクトドライバーが優れていますので、ドリルドライバーではなかなか締め込めない長いネジが、インパクトドライバーならスムーズに入っていくということが多いです。使用シーンに合わせて、インパクトドライバーとドリルドライバーを使い分けるというのも良いですね。
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回転方向の切り替え
本体の側面には、回転方向の切り替えスイッチがついています。
これはドリルドライバーもインパクトドライバーも同じで、握ったときに右側のスイッチを押し込むと「正回転」になり、左側のスイッチを押し込むと「反回転」になります。
持ち運ぶ時は、スイッチをちょうど真ん中になるようにしておけば、トリガースイッチが引けなくなり勝手に先端が回ってしまうのを防ぐことができます。
どちらのドライバーを選べばいいのか
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ねじ締めの効率で選ぶなら
どちらも同じボルト数のバッテリーを使用した場合、インパクトドライバーの方がねじを締めつけるパワー(トルク)が強く、回転数も多いため、速く打ち込めます。ねじを打ち込む作業がメインで使用する方にお勧めです。
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静音性でえらぶ
インパクトドライバーは回転に打撃が加わるため、ガガガガガと大きく響く音と振動が出るため、室内での使用では音が気になる方も多いでしょう。また、近隣の方への迷惑も考えて、作業中静かなものを選びたい場合はドリルドライバーが良いです。ウィーンというモーター音だけなので、振動もなくそれほど気になりません。
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穴あけ作業も頻繁に行う場合
ドリルドライバーはドリルとして使用するのに向いている電動工具ですので、下穴をあける、ダボ用の穴あけ、円のくりぬきなどの作業も精密に仕上げられます。
対してインパクトドライバーはビットの固定に遊びがあったり、負荷がかかると打撃が加わるため、回転の軸がぶれやすく精密な穴あけができません。また下穴錐のような細いドリルは打撃の衝撃で折れやすく、ビットも制作物も台無しにしてしまうことも。穴あけとねじ締めをバランスよく行うならドリルドライバーががお勧めです。
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2台とも持つのもOK
2台揃えて、穴あけ作業にはドリルドライバーを、ネジ締め作業にはインパクトドライバーをと使い分ければ、ビットを何回も取り替えずにすみますよ!
豆知識
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ペン型ドライバー
上記で紹介したドライバーとは違う形のドライバーも存在します。
本体が「く」の字に折れ曲がった形から、まっすぐのペン型に伸ばすことのできるペンインパクト、ペンドライバーです。機能は上記の説明と同じですが、スイッチの位置が変わります。
DIY向けというよりも、建築現場の施工などで、狭いところにもドライバーの先が届くなどで重宝されています。